うつ病について: うつ状態とうつ病の診断

うつ状態とうつ病の診断

・うつ病とうつ状態は異なる。
・うつ病以外の原因からも、うつ状態になり得る。
・うつ病の診断には、他のさまざまな原因を区別する必要がある。
・とくに双極性障害(躁うつ病)との区別が必要。


うつ症状が中心の病態を、「うつ状態」といいます。
うつ症状は、うつ病の時にだけ出現するわけではありません。「うつ状態」にはうつ病以外のものも混じっています。
たとえば、身体疾患や薬剤なども、うつ状態を引き起こすことがあります。また、他の精神疾患によって、うつ状態が生じていることがあります。うつ病と診断するには、これらによるうつ状態を除外しないといけません。
精神疾患では、統合失調症、社会不安障害、パニック障害、強迫性障害、適応障害、発達障害などを除外します。とくに、双極性障害との区別は、最も重要です。
双極性障害(躁うつ病)は、躁(気分の高揚)とうつを繰り返す病気です。うつ病と双極性障害は、全く別の病気と考えられています。同じようなうつ状態であっても、治療が異なるのです。双極性障害のうつ状態(うつ病エピソード)では、抗うつ薬を使用すると、病状の悪化を招く可能性があります。
簡単な問診やチェックリストだけから、「これこれの症状があるから、うつ病です」「抗うつ薬を処方しましょう」というわけにはいかないのです。


うつ病の診断のために除外するもの(代表的なものだけ)
A. 身体疾患によるうつ状態
 ①内分泌疾患(甲状腺機能低下症、クッシング症候群) 
 ②脳の病気(脳梗塞、パーキンソン病、認知症、脳腫瘍)
B. 薬剤によって引き起こされたうつ状態
 ①依存性のある薬物(アルコール、覚醒剤、麻薬)
 ②身体疾患の治療薬(インターフェロン、プレドニゾロン、レセルピンなど)
C. 他の精神疾患にともなううつ状態
 ①統合失調症
 ②双極性障害
 ③社会不安障害
 ④パニック障害
 ⑤強迫性障害
 ⑥適応障害
 ⑦発達障害