うつ病について: 抗うつ薬について

抗うつ薬について

・抗うつ薬は、脳内の神経細胞に作用し、情報の伝達をスムーズにする。
・飲み始めてから効果が出るまでには時間がかかる。


うつ病では、脳の中の神経伝達物質(セロトニンやノルアドレナリンやドーパミン)の働きが低下し、神経細胞間の情報伝達がスムーズにいかなくなっています。抗うつ薬は、この不足している神経伝達物質を増やす働きがあります。その結果、沈み込んだ気分や意欲や興味を改善する効果が生じます。また不安をやわらげたり、痛みや倦怠感などの身体的な不調を改善する効果もあります。ただし、不足してしまった神経伝達物質が元のレベルに回復し、うつ症状が改善するまでには時間がかかります。



■抗うつ薬の種類
①三環系抗うつ薬
 ・第一世代の抗うつ薬。
 ・抗うつ作用は強いが、副作用も多い。
 ・副作用としては、口渇、便秘、尿閉、めまい、動悸、眠気、起立性低血圧などがある。
②四環系抗うつ薬
 ・第二世代の抗うつ薬。
 ・三環系抗うつ薬に比べ、抗うつ作用は弱いが、副作用が少ない。
 ・代表的な薬剤としては、テトラミド、テシプール、ルジオミールなどがある。
③選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
 ・神経細胞末端のセロトニンの再取り込みを選択的に阻害する。
 ・三環系抗うつ薬と同等の抗うつ作用を持ち、副作用は少ない。
 ・投与初期に、悪心・嘔吐、下痢などの副作用が生じる可能性がある。
 ・まれに、セロトニン症候群(*1)を引き起こす可能性がある。
 ・若年者に使用すると、自殺のリスクを高めるという報告がある。
 ・うつ病だけでなく、パニック障害、強迫性障害、社会恐怖など幅広い疾患に使用される。
 ・使用可能な薬剤は、ルボックス、パキシル、ジェイゾロフト、レクサプロ。
④セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)
 ・神経細胞末端のセロトニンとノルアドレナリンの再取り込みを阻害する。
 ・副作用は比較的少ないが、頭痛や排尿困難を生じることがある。
 ・使用可能な薬剤は、トレドミン、サインバルタ、イフェクサー。
⑤ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬 (NaSSA)
 ・セロトニンやノルアドレナリンの分泌量を増やすことで抗うつ効果が生じる。
 ・使用可能な薬剤は、レメロン/リフレックス。


*1 セロトニン症候群:脳内のセロトニン活性の亢進により発症するもので、強い焦燥感、錯乱、発汗、幻覚、反射亢進、ミオクローヌス、戦慄、頻脈、振戦などをともなう。